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初老初級ジャグラーの日記です。 ジャグリングを始めたのは2004年。ボールと傘を中心に投げたりまわしたりしてます。2005年1月にクラブを始めましたが、いまだに3クラブカスケードしかできません。花籠鞠、一つ鞠も始めましたが、まだ基本パターンもできません。 技の習得には通常言われている期間の4倍から5倍かかりますが、投げていること自体が好きなのでじわじわ続けています。
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題名:『歴史/表現/地域 から見るサーカス文化』「サーカス、地域に入る―サーカス堂ふなんびゅるの挑戦」
日時:2011年10月19日19:30-21:00
会場:世田谷文化生活情報センター セミナールーム(三軒茶屋駅前キャロットタワー5階)
料金:1000円
座席:後方左より
講師:田中 未知子(オール・レ・ミュール/フランス国立大道芸サーカス情報センター 日本特派員)
解説:
サーカスの持つ本質とは何でしょう?
生々しさ、きわどさ、迫力、力強さ、しなやかさ、寛容さ、雑多……。とりもなおさず、それは「大衆
的」という言葉にも置き換えられます。日本であれ外国であれ、かつて人間が人間らしかった時代にお
いては、こんな「きわどい大衆性」がむんむんと渦巻いていたはずです。瀬戸内に移住した私がみたの
は、弱まりながらも確かに生き続けている地域芸能の中の、そんな大衆性でした。一般の人たちが、コ
ミュニティのなかで地域の行事としての芸能に参加し、自分の役割を演じる。そこでは「芸」は日常の
延長、個性の延長であり、まさに「人間の本来もっている能力や個性を最大限に引き出す」ものでした。
サーカスと地域芸能のすごさは、そこにあるのではないか。今の時代だからこそ、こういった力を取り
もどすことが何より重要なことに感じています。今回、私がこの2つを組み合わせるための活動として
高松ではじめた、サーカス堂・ふなんびゅるの試みについて、その具体的な活動内容をご紹介します。


-----
田中さんのお話を聞くのは初めて。

Funambuleとは、綱渡りのこと。目が眩むような高いところの綱渡り、または綱渡り師をFunambuleと
呼ぶ。これは自分にとって自由、解放の象徴。身一つでどこでもわたっていけるということ。
疲れたときに空を見上げて、綱渡りの女の子がいる光景を想像する、そうすると心が楽になる。

映画「天井桟敷の人々」にはフナンビュル座という名前が出てくる。戦時中なのに巨大セットを組んで
大量のエキストラたちであたかも本当のフェスティバル会場であるかのようにした。そこここに大道芸
人たち、それもしょぼい芸人たち、それがすごくよい雰囲気。一般市民たち、平民が持っているものす
ごいエネルギーが感じられる。フランスに限らず、縁日、祭りに紛れて大道芸人がいたり、雑多で人間
くさくてむんむんした世界、これが天井桟敷の人々の雰囲気と一致するのではないか。
それらのイメージを含めて「サーカス堂ふなんびゅる」と命名した。

サーカス堂ふなんびゅるは2011年5月、高松で始動、サーカスと大道芸の本が200冊。ルビー商会とい
う家具屋さんのオーナーが心が広く奥の方のスペースを貸してくださっている。ルビー商会が三階建
て、2階がカフェ、3階が倉庫。倉庫にはサーカステント的な雰囲気があるので何度か上演している。

サーカス堂ふなんびゅるの目的を一言でいうと

「サーカスを切り口に瀬戸内という地域にはいっていくこと」

そのための手段として次の二つの機能を持つ。

・サーカス・大道芸情報センター
・農村歌舞伎・人形浄瑠璃、獅子舞など香川を中心に地域芸能の調査

香川には島や地域ごとに地域芸能がある。定期イベントとして月に一度「千と一夜」、サーカス・大道
芸・地元芸能の話と映像紹介を行っている。毎回同じところではやらない。サーカスをキーワードに地
域にはいるのがポイント。場所とか物に関わってもらいたい。たとえば大衆食堂をその日だけは異次元
空間になど。。なぜサーカスなのかというと、その普遍性・大衆性、守備範囲の広さ、なんでもありの
世界、生であること、包容力。等々、 なんでも取り入れることができる。(なぜサーカス?のページ
に傘回しのイラスト。)

なぜサーカス?の私的理由は、

     「サーカスというのは人々や文化の中にはいっていける」

サーカスは有無をいわせぬ説得力によって突破口になったり、いつも守護神のようであった。
サーカスは私とともにいる、だから私はサーカスと地域に入る。

私は大学で美術史を学び、24歳の時にフランス留学した。生まれて初めて人種差別を体験した。最
後の方にはちょっと妄想がでるくらいつらかった。フランスを嫌いで仕方がない差別の国だと思いこん
でいた。2004年になって北海道新聞の事業局にいたとき、フランスのサーカスが札幌で日本人のダ
ンサーとコラボをしたいという話を金井圭介さんが話を持ってきた。たまたまNHKBSで金井さんを
みていたので運命の出会いだと思い、初めて会社で担当させてほしいとお願いして担当した。サーカス
の人たちと初めて会ったときの彼らの目をみた瞬間、フランス嫌いが溶けてなくなってしまった。
サーカスが持っているやさしさ、平等さ、上からでも下からでもなく対等の視線だった。その目で全て
が変わった。サーカスは人を救うのだ、と思っている。
そのイベントはボヤージュというサーカスと地元ダンサーのコラボレーションで、3500人がはいる会場
で2日で7000人の動員。サーカスがきたことがない場所でそれだけの人がはいった。その後4年間連続
でその場でヌーボーシルクが上演されることになった。
釧路に転勤になった時、サーカスと関われないということで、泣いたりわめいたり、、しかし1年だけ
は釧路にいようと、1年たって会社をやめてフランスにわたって本を書こうと思ってその通りに実行した。

瀬戸内国際芸術祭が去年はじめて行われ、三ヶ月95万人動員された。それに携わっていたので香川と
縁ができた。それまで新潟に1年。そこで地域にはいるということを行い、去年も瀬戸内で地域にはい
るということを行った。
マスコミで事業をやるということは、自分たちでやりたいことを企画して、人が来たいと思っていよう
がいまいがマスメディアで人を呼び込む興行の世界。良いものをやるのが至上命題だと思っていた。
地域にはいり始めることで、瀬戸内の人々にはいってみて、普通のひとがもうひとつの顔を持っていて
役者だったり舞手だったり。普通のおじちゃんが見得を切る、その豊かさに打たれた。
人は芸ができるんだ、芸=人の豊かさ、ということを初めて瀬戸内で感じた。

香川の人の特徴?
・基本的に自嘲的(謙遜かもしれない)
・獅子舞はあるが、地味で、阿波踊り、よさこいなどと比べて外にPRできるような祭がないと思っている
・自分のところの地元芸能を凄いと思わない。あるのが当たり前、普通だと思っている
 たいしたものだと思ってないゆえに簡単に辞めてしまう
・一方で郷土愛が強い人が多いように見える

サーカスによって「地域にもともとあるもの・人・場所」のちょっと違う面を引き出したい
1 地域芸能×サーカス: サーカスと芸能の村祭り
   馴染みの場所での地域芸能。社員食堂でのたぬき踊り等、日常の場所でやれば見てもらえる。
   島や集落を巡る芸能団。芸能団が巡って普段みる機会がない人たちに見せる、隣の島でやってい
る芸能をみることができる。
2 場、人、モノ 地域の素材とサーカスが出会うクリエーション(アートクリエーション)

地域芸能にこだわる理由

・職業的な顔、家庭的な顔、演者という第三の顔を持つ
・演者の顔=共同体の一員としての顔(通常男のみ)
・その人の持つ個性が際だつ。その人に向いている役柄、踊り方、役割などが長い間をかけて明確になる
・年に1回は祭りや公演の本番があり、一ヶ月は準備や稽古のために定期的に集まり、非常な濃密な
 関係や団結をつくる
・稽古、本番とも共同体全体が参加者の子供をみる。時には何十人という大人が親・他人関係なく子供
 を指導する。共同体全員で子供を育てている感覚である(親も子供もそれを受け入れる)

「生活様式の現代化ー>芸能と共同体の消失」と一般的にいわれるが、芸能が共同体システムを支えて
いる場合もあるようだ。地域芸能は、ほとんどの場合内輪の催しであり、それがために続いてきた。
しかし、忙しい、面倒だから、という理由で中止するのもいる。

サーカスの関わり方としては、「地域芸能とサーカス大道が融合した新しい「村祭り」の創造」。
あくまで「地域の人が活躍し、地域の人を喜ばせるため」のもの。最大多数に向けた「マス」から
の考え方からの脱却の試み。
千と一夜、シェヘラザートの物語というのがあるが同様に千と一夜、三年やってみて居場所があれば
やりたい。サーカスといっても地域へばーんとはいるのではなく、フランスでは、ひとりサーカスも
ある。ひとりひとり話し合って、中にはいっていただく。
その場合、費用がかかるのは確かなのだが、興行としてはあまり考えてない。

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題名:『歴史/表現/地域 から見るサーカス文化』「サーカス・大道芸の再誕生-作品・背景・制度」
日時:2011年10月6日19:30-21:00
会場:世田谷文化生活情報センター セミナールーム(三軒茶屋駅前キャロットタワー5階)
料金:1000円
座席:後方左より
講師:藤井 慎太郎(早稲田大学文学学術院教授)
解説:
サーカスや大道芸は、1970~80年代のフランスにおいて再誕生ともいえるほどの大きな変化を
経験しました。サーカスや大道芸がそれまでにたどった歴史的な経緯を最初に振り返った後、
実際の作品の映像を見ながら、こうした新しい表現がいかに伝統を継承しつつ過去と断絶した
のか、考えたいと思います。さらに、そうした開花を支えたのは、国や自治体の文化政策の変
化でもありました。フランスではサーカス・大道芸が持続可能なかたちで発展できる環境がこ
の25年ほどの間に整備されたといえますが、その変化を知ることは日本の舞台芸術が直面する
問題を考える上でも役立つはずです。



ーーーー

藤井先生のお話をお聞きするのは二度目。
まずはサーカスの歴史。
古代ローマ(BC364)において15万人ー25万人収容するキルクスマクシムスでローマ祭が
開催される。演劇はその一部として上演された。このキルクスがサーカスの語源。
キリスト教が国教になるとローマ祭禁止
1550頃職業集団によるコンメディアデッラルテが生まれる。軽業芸を多用し道化芸に発展。
中世では路上空間での演劇の催しは入市式、貴族や君主の結婚式等で大がかりな見世物が
行われていた。また、キリスト教の祭日に関連してパレードや演劇の上演が行われるよう
になった。野外空間に仮設で舞台を組んで演劇の上演がなされていた。
サンジェルマン定期市での演劇上演(1763)、フィリップアストリーがロンドンで曲馬芸
の公演(1768)、ロンドンに常設劇場開設(1779)、パリで常設劇場開設(1783)、
アストリー一座は曲馬芸で、当初は空き地で公演、その後常設劇場の中で曲馬芸をみせる
ようになった。

アストリーから出てきたチャールズヒューズがカンパニーを立ち上げて(1782)「サーカス」
という用語を使った。演劇用の劇場をサーカスに流用した。本来の客席をステージに使っていた。
19世紀の前半にはテントを使っていた。19世紀鉄道網が発展してくると、鉄道を使ってテントを
もって移動した。サーカス専用の劇場も作られた。

ジュールレオタールがシルクディヴェールで初めて空中ブランコを編み出した(1859)。
彼の衣装がレオタードの起源。名前を英語読みするとレオタード。

パリをはじめとする大都市では常設の劇場が作られた。シルクディヴェール(1852設立)は
パリに現存している劇場で、サーカスの作品の上演も行われている。
とくにソ連では、「革命後の社会にサーカスがふさわしい。」ということで推進された。
円形劇場はどこに座ってもだれにもよく見えるということで、人民の平等を実現したもので
あるとされ、また内容が誰にでもわかる間口の広さから人民向けである、などから国立の
サーカス学校を作ったり、サーカス場を作ったりしていた(ただし「ボリショイサーカス」
は日本向けにしか存在しない)

ジンガロ常設劇場(1989)は日本にも2回ほど来た。日本だとチケットが高い、しかも
エルメス協賛で贅沢品の感じがするが、欧州だと高くても40EURくらい。
フランスではアートというとエリート層の物だったが、ジンガロはアートと大衆性と
結びつけた。

日本にもものすごいレベルの芸人たちが揃っていた。トーマスエジソンがJapanese Acrobats
という足芸を見せる映像があり、You Tube に載っている(1904)。映画が発明されて
すぐのころに日本人芸人の映像が記録されている。 Les Kiriki, acrobates
japonais(1907) というフランスで作られた映画(特撮こみ)がある。フィリップドゥ
クフレの「Shazam!」( 1998) のフィナーレがKiriki のリメイクになっている。
エヴレイノフ式古宮奪取(1920)はロシア革命の再現で観客10万人。
演出プランも残っている。革命が盛り上がると芸術も革命的な動きが発生する。
それまでにない新しいものを作ろうとする動きが出る
   
ロワイヤル・ドゥ・リュクスの巨人の神話(1993)、スルタンの象と少女(2005)は
路上空間での展示。人力で人形たちが動く。彼らが作った機械の展覧会が開かれたこと
がある。ピアノを飛ばす機械はアップライトピアノを飛ばして壊すだけ、1日1台壊していた。
水の大砲、大砲で水をどーんと打ち出すが前にいる人がびしょぬれになるだけ。
ワインを注ぐ機械、パンにクリームを塗る機械、等々役にたたないというところを
強調するのが受けていた。

「この「役に立たない」というのはサーカスと大道芸にとって結構重要な特徴ではないか?」

サーカスの芸人とかいうとものすごく体を鍛えていて、ものすごいことができるはず
なのに、すごい体で何もしないとか、ものすごい金を作って機械を作ってなにもでき
ないとか、そういう役に立たないことが重要だと思われる。

最近、路上空間が見直されている。1968にフランスでは5月革命、社会に対する大規模
な異議申し立てがおき、街頭デモが頻発した。フランスが上手だったのは、デモ自体が
ポエティックだったところ。スローガン「敷石の下は砂浜」を掲げて、高速道路を2カ月
通行止めにして砂浜にしてしてバカンスをどうぞ!としてしまった。権力に対してNOと
いうだけではなく、想像力を権力の座に就かせよう!!
5月革命を潜り抜けたひとたちが大道芸に流れ込んできて路上空間をまったく異なる使い
方をするようになった。

フランスが国としてサーカスや大道芸のために出している助成金は、2008年でサーカス
へ1248万ユーロ、大道芸968万ユーロ、あわせて20億円程度。
フランス文化省がサーカスを文化としてとりあげたのは1970年代。それまではサーカス
は農業省の管轄。80年代にサーカスの支援が始まり、国立サーカスセンターが学校と一
緒につくられた。
2001年に文化省がサーカス年として大規模なイベントをあれこれ催して、大道芸の学校
を作ったり、予算を増やした。フランスの国全体でまんべんなくサーカスや大道芸を見
てもらえる環境を作った。サーカス拠点と国立大道芸センターは地方に10か所。
地方拠点でアーティストを拠点に数カ月迎え入れて作品作りをサポートする。共同制作
として必要になる資金の手当てをして、中央だけが潤うのではなく、周りにいる小規模
なカンパニーも支援の恩恵を受けられる仕組みがこの10年くらいで整備されてきた。
メジャーになれば国からの助成金が出る。協定カンパニー(文化省と協定交わして複数
年度助成金もらえる)はサーカス33、大道芸37、持続可能な環境を作りあげている。
サーカスや大道芸はちょっとしたバブル状態。学校を少し多く作りすぎた?
フランスでサーカスは450、大道芸で1000ある。予算を増やしても全てのところ
まで支援の手が届かない。

サーカスや大道芸は演劇・ダンスとケタ違いに補助が少ない。でも日本から見れば羨ま
しい限り。ロワイヤル・ドゥ・リュクスは2007年にナント市助成金が285000ユーロ、
市の文化予算の1/3を占めた。カンパニー予算の18%弱。
ナント市は2011年の新作には80万ユーロ出していた。

最近はサーカスと隣接領域の境界線が曖昧になっている。サーカス出身なのだけれど
サーカスと呼ばないでくれ、などということもある。ジンガロもサーカスからスタート
して馬術演劇を名乗っている。サーカスの外からはいってきたり、逆に外へ出て行ったり
さまざま。
題名:曲乗り渡世始末帖―明治・大正・昭和を生きて
著者:阿久根 巌
出版社: 創樹社 (1981/01)
ASIN: B000J7X9WU

すごいひとだ。自転車とバイクで曲芸をずっと行っていた上に、自分で何でもつくっちゃう。
曲芸用自転車もサイカホールも(^^;) しかもかなりの自由人で女もとっかえひっかえ。
盆の上にコップとヤカンを乗せて客に向かって落とすが鎖で繋がってる、、というものは
「ガランポン」というアイテムだったのね


Nicholas Brothers - That Old Black Magic (HW Palace 1965) の映像。
開始後2分後あたりから師匠の演技が始まっている。
これはすごい!動作の切れ目にほとんど余分なためがなく、テンポが良いのに
どっしりとした安心感をあるのですべての技がゆっくり見えてしまう。
ライブで観たかったなー。
題名:第二回ジャグリングステージ裏方ワークショップ
日時:2011年4月2日14:00-16:00
場所:BumB(東京スポーツ文化館)研修ルームC
講師:奥村優子(Cheeky*Park)
主催:米屋遊

内容概要

●イベント・ストリートと舞台公演のちがい
・演技する/表現したい空間を事前に考えて、用意する必要がある。
・お客さんが事前に金を払って予定を空けて見にくるものであり、その場で偶然出会う大道芸とは、鑑賞の動機が大きく異なる。
・大道芸・イベントより、スタッフなど関わる人間がはるかに多いので、パフォーマー以外の人間とのコミュニケーション言語を持たねばならない。情報共有方法はものすごく違う。
・準備と計画が大事。演劇は台本があるので分業での準備が可能。ストリート感覚でどうにかなる、と思っているとうまくいかない。

●なにを、だれに、どういうかたちでやりたいか
☆ショーの目的を明確にしよう
・この講演では、自主企画のジャグリングショウケース公演をモデルにする。
・主宰が目的をきちんと考えて、メンバーと共有しないといろいろぶれて、公演や作品に支障をきたす。
・舞台上で演じることでも、コンテスト形式だったり、公演、発表会、個人グループ等様々。
・物語の中で技術をみせるのか、人重視でやるの か、テーマがあってそれを見せるのか。
・死力を尽くしてよい作品を作りたいのか、仲間で楽しく作りたいのか、両方やりたいのか。

●支出について考える
☆なんといってもお金は大事。
謝礼金(出演者、スタッフ…など人に支払うお金)
謝礼を払うか払わないのか含めて考える。
 人件費は、最初にしっかり打ち合わせる。相場や個人差があるのはパフォーマーもスタッフさんも同じ。
制作費(郵送費・交通費…などのおもに事務方の雑費)
 細かな費用も積み重なればでかくなる。
広報費(チラシデザイン、印刷、郵送…など広報宣伝に使うお金)
 よくおこなわれる折り込みなども、委託すればお金がかかる。
交通費を出すかどうか?意外にかかる。
会場費(利用料・機材費…など会場を借りるのにかかるお金)
 電気代や時間延長代など、予算オーバーしないためにもチェックが必要。
舞台費(衣装や道具…舞台上で使うものの予算)
 思いつきでどんどん物を増やすと、作品のためとはいえきりがなくなる。
同じく照明や音響プランをふくらませると、ものによっては機材費が別途発生する。
 手持ちの機材でできるようにするか、どうしても必要ならちゃんと事前に予算に入れておく。
保険費(レクリエーション保険など)
 怪我や事故の可能性が演劇などの公演より高い。客は椅子に座って逃げられない。
 レクレーション保険だと1公演でそこまで高くないので安心のためにもはいっておきたい。

●収入・公演規模を考える
【例】いちばんの収入源は入場料。
チケット収入:チケット代×会場キャパシティ×80%×公演回数
→100%で考えると満員にしないと赤字になるため。80%くらいは人は呼びたいということで。

*それ以外の収入の可能性を検討する
 自己負担金:主宰が一括 又は [支出総額-チケット収入]÷参加者で頭割 等
 →演者にも払わせるのか(ノルマ)、自分で出すのかは主宰次第
 その他収入:物販○、協賛△、助成金△
 →自主企画でジャグリングでは、トライする価値はあるが、何か強い売りでもない限りペイできるほど協賛や助成をとることは難しい。

→金額設定を考える/自由席・指定席、当日券・前売券・割引券…
→会場の優先順位を考える/使用料金、広さ、キャパシティ、高さ、立地、駐車場…
→日時設定を考える/平日昼:一般×・関係者○、平日夜/一般・関係者○、土日:一般○・関係者×
 ※誰に見せたいのか、ということにも関わってくる部分。

☆収入を考える
・公演として成功させるための目標ラインの設定が必要
・助成金は実績があるか、実績がある人が参加していないと難しい。大手も申請しているので大手とも競うことになる
・当日券より前売券が安いのは確実にきてくれる予約者を増やしたいからである。
・料金はターゲット顧客が支払える金額にする。
・現実的には赤字を出さないのがとても大切。
・精神的にせよ、金額的にせよ、赤字を出さない。
 心も金も赤になるとそこで燃え尽きてしまうかも。。

☆会場を考える
・わかりにくい場所の会場だと、開演に遅れる人も出るし。チラシ見たときにハードルがあがる。
・荷物の多くなりがちなパフォーマー系公演では、駐車場が近くにあるかどうかはポイントとなる
・天井の高さは?会場の理解度は? Cheeky*Parkの公演下見時は、実際にボールを投げたり、
 ちょっと空中ブランコを吊るしてぶら下がったりもした。
・パフォーマンス公演であることと、実際におこなわれる動きを会場の人に説明して確認する。
 (実際に借りてから、物を投げる公演だと小屋の人が知って、不安を覚えられたりしないよう。)

●企画書・スケジュールを考える
・顧客を想定して、集客、予算、体力を総合的に判断してスケジュールを決める。
・企画書はみんなに説明するとき、なにより自分のために必要。
・公演の目的を1枚にまとめて記述すると便利。
・事務方は、主催がかねる場合もあるが、別途制作で責任者をひとりきめることをすすめる
・話したことは文字にして、必ず互いに共有・確認する
・スケジュールの立て方は人と場合によるが、逆算するのも便利なやり方。
 (いつまでにはこれがないと困るよね、ということから発想していくと考えやすいし決めやすい)

●メンバー・スタッフとの情報共有・確認
☆顔合わせは大事。
・メール・文書だけの連絡より、稽古前に全員集まって企画書を配って、自己紹介するなど。
・本番までのスケジュールほか稽古のもろもろを調整・確認する。
・現時点でかまわないからスケジュールを提出ないし〆切を通達するとよい。
・チラシを作るなら、名前の表記、プロフィール、写真などを確認する。
 パフォーマーのプロフィールは営業用かつ書き方がマチマチなので、そのまま提出するよりは
 フォーマットを決めて「こういう感じでかいてくれ」と指示した方が安心。
・コンタクトリスト。知らない人の確認も含めて、名前と携帯とメアドをリストにしてくばるとよい。
 (この場で書いてもらって、コピーして配るとかでもいいと思う。意外とお互い知らなかったりするので)
・主催や制作からの連絡方、連絡責任者も確認する。
・窓口をできる限り1本化しておく。
・チケットの売り渡し方法も、決まっていれば確認した方が良い。
・最終的に情報共有できてないといい公演ができない。人も状況も違うと以前と同じ方法では
 うまくいかない場合があるので注意。

☆台本
・舞台上で行うことが、すべて文字か図になっていること。
・パフォーマンスでは言葉とト書きではかけない部分があると思われるので書き方の工夫や図も大切。
・きっかけなどは台本を使ってスタッフと意思疎通を行う。
・そういうスタッフ向け台本を書くということをパフォーマに周知徹底することが重要。

☆稽古
・基本的にはそれぞれが自分のルーティーンを練習でいいが、公演が近くなったら稽古回数を増やして集まってやる日を決める。
・合同稽古日はやった方がよい。1ー2ヶ月前に様子をみて、舞台監督らスタッフにも見てもらえるよう調整。
・スタッフさんがこれる日には、出演者にはなにがなんでも来いと徹底する。
 (特に直前はこちらを優先してほしいと強く言わないと、断りきれずに仕事を入れてしまう人がいたり
  仮押さえだと思っていたら流れなかった人が出てきたりする。)

○当日、劇場でやること
【作品サイド】 搬入、仕込み、テクニカルリハーサル、場当たり、稽古、ゲネプロ、
 本番、搬出・荷返し…etc
【制作サイド】 搬入、楽屋・ケータリング準備、客席確認、折込作業、打ち上げ手配、
 弁当手配、各種支払い、
 チケット管理、当日スタッフ対応・管理、受付準備、開場~終演後対応…etc

・劇場にはいったら,基本的には舞台監督の進行表に沿って動く。(大道芸やイベント系の現場感覚でいると怒られます)
・当日スタッフに何時にきてください、と頼んだら来てもらった時間から働ける準備を
 しておくこと。人の時間をとっていることを忘れない。
・スタッフをやりながら舞台を見れるかどうか話しておく必要がある。
 スタッフにはいると舞台を見れると思う人もいる。
・劇場の中と外では、互いにたいへんなことがあっても伝わらない。ぴりぴりして
 くるのでわかりあって動こう。

☆お弁当
・弁当の手配は、地味に大変だけど大事。どのタイミングで出すか、心がまえる。
・テクニカルリハーサルが延びたりするとスタッフさんは弁当買いに行く暇がない。
・一瞬時間があいた隙に暖かい弁当が出てくるとモティベーションがあがる。逆もしかり。

○終わってからやること
☆制作と主催は公演終了でも仕事は終わらない
・制作サイドと出演サイドで「公演が終わる」という意味が異なる。
・精算、アンケートのまとめ、入場者リストまとめ、書類の整理、反省会など等盛りだくさん。
・映像をとっていたら関係者に配送する。

<逆算で考えてみる作業のタイムライン例>

【~3ヵ月前】…パートがほぼ固まっている状態
[チラシの用意]
・チラシ配布リストの検討→見積もり計算→印刷部数決定
・企画書内容+問合先、クレジットほか掲載項目確認・決定→デザイン作成&校正→印刷

・ちらしは無駄のない枚数で刷れるよう、事前に配布計画わたてる。
・折込も、普通の演劇公演では2000枚とかふつうにありうる。パフォーマー・ダンス系では数百枚程度。
・類似のパフォーマの直近公演に行って折り込みを見て、どこで折り込むか考えてリスト化すると便利。
・ジャグリングの公演だけでねらうとあまりないので、ダンス・アクロバティック系、や演劇でも
 パフォーマンス的なものなどを狙うと良い。そのために周辺アートも普段から見ておく。
・チラシの配布方法として、置きちらし、郵送、手配りほか、いろいろ伝える方法を考える。
・ちらしを作るということはその情報を変更できない。
・ちらしを作る時点で、日時劇場チケット販売方法、問い合わせ先などをFIXする。
・ちらしでからWebに誘導とかブログ、Facebook などもありうる。

[チケットの用意]
・販売方法の検討(一般用と関係者用)→掲載項目の確認→デザイン作成&校正→印刷

※関係者チケット管理は、必ず文面で。言葉のみは「言った言わない」になるので避けたい。

☆チケットの扱いはとても重要
・無料か有料かあとでわかるので精算は半券が残るタイプがやりやすい。
・災害の場合の払い戻しなどルールを決めておこう。
・チケットは金券だと思え。おざなりに扱わせない。チケット渡して、金をもらったかどうかわからないということも起きるので注意。(ノルマでチケットを売っている場合はとくに、金券扱いにしないと平気でなくしたり無料配布する人が出るので注意。売れ残りは確実に回収しましょう。)

・チケットの売れ行きの情報共有、売り上げ枚数と残席を2-3ヶ月前は週報、二週間前になると毎日MLを流していた。
・客がきて成立するので皆が宣伝したくなる動機付けをしよう。

*ストリートで300人集めるより、劇場に100人呼ぶ方が大変。ストリート感覚で売れると思っていると意外に売れない。そして、身内で売りあうはめに陥るので、ちゃんと人を呼ぶつもりでやらないとい痛い目をみます。

【2~3ヵ月前】…各自がそれぞれの稽古開始、時おり合同稽古。

・チラシ配布開始(折込、置きチラシ、DM送付、関係者配布など)
・WEB開設準備:種類/HP、BLOG、Twitter、mixi、youtube等 と コンテンツ検討→公開&適時更新
・予算状況とチケット販売状況などの管理
・稽古場手配&スケジュール・メンバーの出欠状況管理・調整

【1~2ヵ月前】…各自稽古続行、時々合同稽古、台本提出〆切。会場下見とスタッフ稽古見学・打ち合わせ。

・チラシ配布、チケット管理、WEB更新、予算管理、稽古場手配&スケジュール・メンバー出欠状況管理・調整
・スタッフ稽古見学日調整と実施(メンバーへの周知) ※なるべくこの時までに台本と図面・動画等を用意
・会場の下見手配と日程等調整
・WEB系情報投稿
・当日にむけて:パンフレット&アンケート準備、スタッフ探し

・書き直すとしても、一ヶ月前には基本台本ができているほうがいい。〆切は余裕を持って設定しないと、現場が多い人は書く余裕がないので注意。
・スタッフも忙しい場合も多いので稽古に見学にくる前に渡せるとベスト。
・劇場を知るには舞台装置がない、素の状態でみるのが望ましい。
・パンフレットやアンケート、当日スタッフ探し、直前に探すことが多いが、早めに動くと安心。
・パフォーマー系だとアクロバットで2階にロープ吊るとか、舞台の特殊な使い方があるので、技術スタッフとの確認をしっかりしておく。
・友達で舞台監督する場合、外の劇場を借りてやる何かあれば全ての責任がいってしまう。
 それを友達値段で請け負わせるのか? あまり安い金額で全責任をとれとは言えない。

【その月】…各自稽古続行、合同通し稽古等。スタッフ稽古見学と当日に向けての打ち合わせ。

・チラシ配布、チケット管理、WEB更新、WEB情報投稿、予算管理、
稽古場手配&スケジュール・メンバー出欠状況管理・調整
・スタッフ見学日手配と打ち合わせの日程等調整
・当日にむけて:パンフレット&アンケート準備、スタッフ連絡、物品・進行スケジュール確認

・当日パンフレットを当日するということも多いがもっと前に作ろう。
・アンケート・パンフレットをつくる際にスペシャルサンクスを入れるとよい。載せる必要があるものは皆から聞き出して載せる。
(事前作業のみで当日作業をしないと、手伝ってもらったのに誰にも知られずに終わる場合もあるので地味に謝辞は大事)
・次の公演予定などあれば当日パンフレットに入れれば、その後の活動のPRにもなる。

以上


このレポートを書いて講師の奥村さんに送りましたところ、以下のメッセージもブログに追記して欲しいと依頼されました。

-----奥村さんのメッセージ

●パフォーマーにとって作品は自分自身のものであり、あらゆる空間がステージです。「舞台」は唯一の表現場所ではなく、ステージに出演するだけなら、自分でお金を出したり集めてまでやらなくてもいずれ機会はあります。
また他のジャンルと比べて、圧倒的に個人でパフォーマンスをおこなって生計が立つ人間が多い世界でもあります。
あえて時間もお金も割いて空間を用意して、営業向けでもない作品を他人と一緒に練習しながら創ることには、様々な困難がともないます。
そこまでして舞台公演をやるのであれば、いつものルーティーンをステージ用にアレンジするだけではなく、ちゃんとパフォーマンスだからこそできる舞台作品を考えぬいてから、やるかやらないかの選択をしてほしい。
その上でもやるのであれば、演者・スタッフ・観客にとってそれぞれ今後の活動の糧となるような忘れられない瞬間が生まれるよう、全員が努力してよい作品/公演になるべくとりくんでいってほしいとおもいます。

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